wild poker~ワイルドポーカー~
「お前のカードを言え」
そう言って俺の後ろに立つ男は、グッとナイフを突き付ける。
「……ス、スペードの…J」
震える声で何とか答えたその瞬間、トンと背中を押されみっともなく地面に転がった。
慌てて男から距離を取ると、バッと男を振り返る。
「きゅ、急に何すんだよ!!」
そう非難の声を上げ男を見つめたその瞬間、ハッと目を見開いた。
男の体が……赤く染まっていたから。
黒いパーカーを着ている男の体には、酷い切り傷や抉れた様な傷が見える。
腕に太股、ふくらはぎ、それから頭と片目を真っ赤に染まった包帯が覆っていた。
染めている茶色の髪の生え際は黒くなり、着ている服はボロボロ。
そんな男はゼイゼイと息を荒げながら、冷たい目で俺を見下ろしていた。