wild poker~ワイルドポーカー~
「ア、アンタ……その怪我」
そう何とか声を絞り出した瞬間、ジョーカーはドサッと力尽きた様に地面に膝を付く。
そしてゴホゴホと噎せ大量の血を吐き、灰色の床を赤く染めた。
「最後の最後でとんでもない敵を出すとは……これもアイツの思惑通りか?」
無造作に腕で血を拭いジョーカーが笑うと、俺に抱かれているコウモリはニヤリと笑って見せる。
「いや……これが《運命》ってヤツなんだぜ?きっと」
そのコウモリの答えにジョーカーはワザとらしく眉を顰めて見せ、それから真っ直ぐに俺を見つめた。
「……颯太」
「は、はい」
突然呼ばれた名前に、思わず短く答える。
「どうして……アンタは俺の事を」
そう言い切るよりも早く、腕を引かれコウモリごと抱き締められた。
余りの状態に抵抗する事も、何か言う事も出来ず、パクパクと金魚の様に口を開きながら、茫然と薄暗い天井を見上げる。