wild poker~ワイルドポーカー~
「長かった……ここまで来るには。俺は今、夢を見ているのかもしれない。焦がれ続けた……この《結末》を」
「な、何言って……」
そう言ってジョーカーから離れようと身を捩るが、まるで俺の存在を確かめる様に強く回された腕に阻まれ、それは叶わない。
しかしそれが嫌だとは感じなかった。
そして不思議とこの温もりを……懐かしいと思った。
「アンタ……一体」
「誰でもいいさ。誰でも……いい」
そう言ってジョーカーは俺から身体を離し、優しく笑った。
その笑みは息を呑むほどに俺を惹き付け、何故だか泣きたくなる様な、そんなおかしな感情が渦を巻く。
しかし次の瞬間、ジョーカーは力尽きた様に倒れ込み、慌ててそれを抱きとめる。
「お、おい!!しっかりしろって!!」
そう叫びながら、俺は今にもその場から逃げ出したくなった。
……もう、嫌だった。
こんな風に、誰かの《最後》を看取る事は。