wild poker~ワイルドポーカー~
……これでカードは揃った。
でもこれを使ったら……
《……君に出来るの?》
突然頭の中に、あの少年の声が聞こえた。
《その子の命を犠牲にして、君の望みを叶えるその覚悟が……君にはあるの?》
まるで嘲笑う様なその問い掛けに、カードを手にしたまま静かに目を閉じる。
《何かを得るには、何かを犠牲にしなくてはならない。悲しい事に……それが世界の摂理ってものさ》
何故か悲しく聞こえたその声と共に、そっと目を開く。
すると隣に立っている少女は、俺の考えを理解した様に小さく頷いて見せた。
「……ごめんな」
そうポツリと呟くと、震える手でそっと……カードを置いた。
それから自分の下そうとしている残酷な決断に失望しながら、残ったカードを並べた。
《スペード、ハート、クラブ、ダイヤのJ》と《Joker》の五枚のカード。