wild poker~ワイルドポーカー~
終幕 【side‐J】
目の前の黒赤の洋館を見つめ、それからそっと辺りを見回す。
するとそこは俺のよく知ってる《街》だった。
俺がこのクソみたいなゲームに参加する前に、暮らしていた街。
そして俺はこの洋館も知っていた。
何十年も前から人の住んでいない廃屋。
しかしいつまで経っても取り壊される事も無く、そして傍から見ても傷んでいる様には見えないおかしな屋敷。
子供達の間では化物が出るとか、怪人が住んでるとか……誰も近付こうとしない場所だった。
そんな屋敷の前に茫然と立っていると、目の前の黒い鉄の門が耳障りな金属音を立てて開かれる。
それはまるで俺を誘う様に、屋敷への道を示していた。
そのままフラフラと歩き出し、屋敷の敷地内へと入る。
すると突然何も無い薄暗い空から、何かが落ちてくるのが見えた。
それは俺の目の前の地面に突き刺さり、そして辺りに土煙を上げる。