wild poker~ワイルドポーカー~
「そしたらね《声》が聞こえたんだ。そう……《悪魔》の《囁き》が。そいつは死にかけの僕に《力》をくれた。僕の《答え》を探せる世界を創り出す……その《力》を」
その少年の声には、微かな嫌悪が籠められている様な気がした。
それは不条理な世界に、甘く囁いた悪魔に、そしてその《力》を選んだ……愚かな自分に対する様に。
「これがあの世界の全て。それ以外は……何もない」
そう言って少年は真っ直ぐに俺を見つめると、小さく笑みを浮かべる。
「その答えは見つかったのか?」
「うん。君達のお陰でね。……こうして君がここに居る事が、何よりの答えの気がする」
その少年の言葉に首を傾げて見せると、少年はクスクスと笑いながらそっと目を伏せた。
「やっぱり君は選ばれた存在なんだよ。残酷な世界が《君》を生かす事を《選んだ》……それは世界の定めた《運命》……誰かに愛され、必要とされ、守られ、君は沢山のモノに生かされる。それこそが《主人公》となる者の、絶対的な要素。そう、君に有って、僕には無いモノ。結局僕は、どうあがいても端役。……この世界に生まれたその時から、それは決められていた事」
そう言って少年は自嘲気味に笑うと、俺を見つめた。