wild poker~ワイルドポーカー~
最初から空き地だった様に整地された広い空間に一人佇み、そっと空を見上げる。
すると俺の周りをパタパタと一羽のコウモリが飛び回り、そして次の瞬間、それは突然力を失った様に地面へと向けて落ちてくる。
それを何とか上手くキャッチすると、コウモリは俺の手の上で小さく鳴き、そして《得意のポーズ》を見せた。
それに笑みを返しそっとコウモリの頭を指で撫でると、コウモリは嬉しそうに俺の指に頭を摺り寄せ……そのまま動かなくなった。
それから動かなくなったコウモリを胸に抱いたまま、素手で地面の土を掘った。
爪が剥がれ血が滲むが、そんな事は気にならなかった。
……このコウモリと少年の間に何があったのかなんて知らない。
でも多分コイツはあの少年と一緒がいいんだと……なんとなく思った。
それは少しの間だけど、コイツと過ごした俺の《勘》
そんな事を考えながら掘った穴にそっとコウモリを下ろすと、そこに土を掛けた。
そして綺麗に埋め終わると、泥と血だらけの手をパンパンと掃い、そのまま敷地の外へと出た。