せ ん せ い
一晩頭を抱え込み、複雑な想いを抱えたまま、わたしは翌日保健室へ向かう。
一応、一緒に帰る約束をすっぽかしたことを謝る、という名目で。
いつものように軽い気持ちで遊びに行くほど、わたしのメンタルは強くない。
「帰っちゃったんですか、昨日」
保健室に入るなり、上がりきらない、上がるはずの無いテンションで机に伏せていると、わたしの気持ちなど知るはずもない、いつもの腑抜けた声をかけられる。
…人の気持ちも知らないで。
悲しみと勝手な怒りがわたしの心にとぐろを巻く。
「…だって、松本先生と楽しそうに話してたから」
「あれ、聞いてたんですか」
「先生、松本先生と仲良かったんだね。お互い名前で呼び合っちゃうほど」
「あぁ、それは…」
「お互いの家に行き来するほど」
「……志衣奈さん、私の声聞こえてます?」
「聞こえてませんっ」
「……聞こえてるじゃないですか」
そうだよそうだよ、聞こえてますよ。
本来の目的の謝罪とは真逆の、歪んだ言葉を連発した後、自分の情けなさと冷静さを失った態度に声が詰まる。
だけど別に先生に何か言って欲しくてこんな遠回しなイヤミを言ってるんじゃない。これは、単なる。
「……ヤキモチですか?」
ヤキモチだ。