せ ん せ い
目頭が、急激に熱くなる。
瞳に溜まった水分が落ちないように顔を上げると、ヨレた白衣の背中だけが視界に入った。
顔さえも、わたしの方さえも見てくれない。もう終わりだ。
分かっていたのに。
教師と生徒という立場で、恋愛なんか出来るはずなく、それは迷惑にしかならないと。
だけど。
予想以上に彼の言葉は胸に突き刺さり、現実を痛感した。
「……ばいばい」
震える声が、涙がこぼれる数秒前だと教えてくれる。
最後に視界が捕えていたのは、いつもの無表情でも微かな優しい笑顔でもなく。
うつむきながら煙草を吸っている猫背。
その姿さえも、滲んだ涙でくっきり見えることは無く。
わたしは、廊下に飛び出した。