せ ん せ い





「誰かさんのせいで、数学の平均点が大幅に下がってる」



誰かさん、なんて。わたしのことだなんて直ぐに分かるのに、嫌みっぽく言う斎藤先生。

ムカつくから、唇を突き出して思いっきりそっぽ向いてやる。



「オマケに3回連続赤点。進級は難しいな」

「教師のクセに脅迫とか、信じられない」

「一度も課題出さないなんて、信じられない」


……くっそこんにゃろ!

あぁ言えばこう言う、こう言えばあぁ言う。こんな嫌な大人にはなりたくないなぁ。


ていうか、とにかく早く教室に戻りたいよ。立っているのが辛くなってきた足をストレッチしながら、職員室の時計を眺める。



「はぁ、なんでだ大槻」


もう、先生の声なんて聞きたくない。聞こえない。


「そんなに数学が嫌いか」


聞こえない。


「教師を無視するな」


聞こえない。



「今日は放課後も残って勉強してもらうから」



聞こえ………




「はあああぁぁぁぁ!?」




< 3 / 50 >

この作品をシェア

pagetop