せ ん せ い
「誰かさんのせいで、数学の平均点が大幅に下がってる」
誰かさん、なんて。わたしのことだなんて直ぐに分かるのに、嫌みっぽく言う斎藤先生。
ムカつくから、唇を突き出して思いっきりそっぽ向いてやる。
「オマケに3回連続赤点。進級は難しいな」
「教師のクセに脅迫とか、信じられない」
「一度も課題出さないなんて、信じられない」
……くっそこんにゃろ!
あぁ言えばこう言う、こう言えばあぁ言う。こんな嫌な大人にはなりたくないなぁ。
ていうか、とにかく早く教室に戻りたいよ。立っているのが辛くなってきた足をストレッチしながら、職員室の時計を眺める。
「はぁ、なんでだ大槻」
もう、先生の声なんて聞きたくない。聞こえない。
「そんなに数学が嫌いか」
聞こえない。
「教師を無視するな」
聞こえない。
「今日は放課後も残って勉強してもらうから」
聞こえ………
「はあああぁぁぁぁ!?」