せ ん せ い
「なに、イメチェン?」
教室からボーッと外を眺めていると、いつの間にか担任が背後に立っていた。
グレーのスーツを着こなす、神原先生。
彼は1年の時から3年間、ずっと私の担任だった。
だから私の事をよく知ってくれているのだろうか。
いつも悩みがある時、放課後教室から外を眺めていると、先生は必ず現れる。
「……別に…邪魔だったから、切っただけ…です」
「へー…」
かたん、と。イスを引っ張る音がした。
目線を外から前にやると、前の席に座った神原先生が、私の前髪を凝視していて。
昨日の夜に勇気を出して切り揃えたそれが急に恥ずかしくなって、思わず両手で額を隠した。
「…似合わないでしょ」
ずっとセンターで分けてた前髪。
似合うか似合わないか分からない、今までやったことも無いパッツンにしたのは、あの子に近づきたかったから。