せ ん せ い
いい席になったとか一瞬でも喜んだ私はとんだマヌケ者。
こんなことになるなら、最前列の教卓の真ん前の方が、うんマシだった。
知りたくなかったよ。
坂本が高橋さんを好きだなんて。
私が、坂本を好きだなんて。
これは"男女の友情"ではなく、恋だと。
坂本の気を惹きたくて、色んなことをした。
鏡を見れば、最先端を取り入れた私が映る。見た目は高橋さんと同じジャンルに分けられるような。
だけど坂本は、私の変化に興味を持たない。私は毎日、距離が縮まる彼と高橋さんの話を、胸がはち切れる思いで聞かされるだけ。
これ以上、どうしようもできない。どこを変えれば、どこをどうすれば、私を見てくれるの。
焦って焦って、焦った。
坂本が高橋さんの物になっちゃうのが怖くて怖くて、自分が分からなくなっていた。
この際もう、真似できるものは全てしよう、彼女にあって私に無いものがあってはいけない、そう思って。
昨日、私は。
長い前髪を切り揃えた。