せ ん せ い
「だって、坂本よりも良く見られたいし」
そんなことを真顔で言うから、なんか笑っちゃいそうになった。
もしかしてムキになってんのかな、大人なのに。イマイチ先生の感情のツボが分からなくて、また笑えてくる。
「そういえば先生、いつから気づいてたんですか」
「なにが?」
「私が、坂本を好きだって」
別の話題を持ち出しても、先生の顔は未だに真顔。さっきまでの笑顔は、急にどこ行ったの。
すると、階段を降りたところで先生は足を止めた。
側の渡り廊下から月明かりが差し込んで、先生の顔はより鮮明に瞳に映る。
「結構、前から」
そう言われたものの、先生の表情はやっぱり真顔だから、いきなり緊張してきて視線をそらした。
「やっぱ…先生は生徒のことよく見てるんですね」
言葉に詰まったから、ぽつりとそう返すと。
「あー、もう」
先生はいきなり奇声をあげて、階段に座り込んでしまった。