涙帳*一行のことば*
なんだか校舎のつくりが複雑で、なかなか部室に辿り着けない。
でもそんなとき、ある先輩が声をかけてくれた。
「ワープロの見学?俺ワープロだからついてきて」
・・・
一瞬見惚れた・・・
ワープロやってる男子だから、なんかもっとこう、
暗いイメージあったんだけど、なにか惹かれる。
素直についていった。部室まではそこから二分くらいで
けっこう複雑な道を進んだとおもう。
二分がすごくすごく長くてドキドキした。
「ここだよ、とりあえず入って」
校舎の一番奥にあった扉は、ガラスが暗く
景色に溶け込んでいた。
誰かいるのかも分かりにくい部屋だった。
でも確かに「ワープロ実践室」はここだった。
「失礼します」
一斉に響くタイピングの音。
大雨が降りだしたような、涼しい音がした。
雨のような音を奏でるパソコンが並ぶ中に
静寂をもたらしたパソコンが一台あった。