涙帳*一行のことば*


「おいで」

先輩は手を引くと、一つだけ雨の音を成さない
パソコンのあるところへ私を連れ、座らせてくれた。

「もみじちゃんでしょ、入部宣言してたよね。
俺は2年の辻。今から歓迎するから、ここに座ってて。」

「は・・・い」


辻・・・さん。


少しだけ柔かい笑顔だった。
余計に離れない顔になりそうだ。


「あと10秒!・・・・・・やめ」

ピピピピピ・・・ッ

タイマーがなり、一斉に雨音が聞こえなくなった。

「みんなもこっちきて、一年生。」


先に体験しに来ていた子達は、ちがうパソコンがある場所へ
座っていた。同じクラスの子もいて、少し安心した。
辻さんの声掛けで、他の一年生もこっちに来てくれた。

今から自己紹介とか始まるのかな・・・

すこしだけ緊張しながら私は座っていた。


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「加藤柚葉です、入りたい部は・・・ここかテニスか迷ってます」

「佐崎あかりです、一応ワープロ競技希望です」

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わたしを含め6人の一年生がいたみたいだ。

ひとりは同じクラスだから、友達も出来そう。



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