ｖｉｖｉｄ

「自己紹介が、まだだったね。アタシはキティ。アンタは？」

「……イッシュ」

「よろしく、イッシュ。ところで、何か言いたげな顔だねぇ？文句があるなら今のうちに言っときなよ」

「いや、その………似合わない名前だな」

　言って、すぐに後悔した。

　飛び出すのは罵声か弾丸か。どちらが飛んできても対応できるようにと身構える。
　が、予想外にもキティと名乗った女は怒るどころか、どことなく嬉しそうな顔をして笑ったのだ。

　Kitty、子猫と呼ぶには可愛げのなさすぎる女だと、そういった意味で"似合わない"と素直な感想を述べた。しかし、そのときの笑顔は子猫と呼ぶのに相応しい表情だったかもしれない。

「よく、言われるよ」