vivid
あーもう、この先がスッゲェ思いやられるよ、ホント。
「はあ!?」
「約束が違う!」
今の台詞はですね、オレ、イッシュの順に発せられました、ハイ。
なぜ語尾にビックリマークが付いているかって?キティさんが思いがけないことを言ったからです、ハイ。
"とりあえず二人でイエローまで向かっとくれ。アタシには急用があるんだ"
しれっと言ってくれちゃって。ったく意味わかんねぇよ、この女。
だって、さっきは"一緒にイエローに行こう"的なこと言っといて自分はイエロー行かずに離脱かよ、マジかよ、ありえねーよ。
「人捜しが済んだら説明すると、そう言ったはずだ!」
「言ったよ、確かに言った。でもねぇ、イッシュ、何も捜す人間が一人だけだなんてアタシは一っ言も言っちゃあいないよ?」
「……屁理屈だ」
「まあ、そうカッカしなさんな。アンタたちがイエローに着く頃には合流するよ。約束は守る」
キティは、そう言ってイッシュの頬を軽くつねってから去っていった。
肌が病的なくらい白いせいか顔が赤くなると、すぐわかる。
でもオトナなオレは顔赤いな、なんて言いやしなかった。そんなこと言ったらイッシュは更に真っ赤になって怒りそうな気がしたからだ。
出会って一日も経っちゃいないけどイッシュは案外、扱いやすいということが、なんとなくわかった。キティに、からかわれて遊ばれてるくらいだし。
問題はキティだ。今さっきのことといいマイペースにもほどがある。
オレも上手く振る舞わないとイッシュみたいにオモチャにされちゃうよなあ…。
と、まあ、こんな具合に色んな意味でオレは先行きに不安を抱いていた。