vivid

目的とレモンイエロー

(イッシュ視点)


 "白狩り"以来、自分以外の白の者と会うのは初めてだった。

 祖父を失ったという少年、ルーイにはキティとなんらかの繋がりがあるらしい。白と黒の、ピッタリと重なったネックレスがそれを物語っていた。

 まあ、ルーイとあの女に、どんな関係があろうとどうでもいい。なぜキティがルーイを探していたのか、その理由は気になるところではあるが。

 そして気になることが、もう一つ。子どもらしい振る舞いの中で、たまに見せる思案顔。ルーイには子どもだからといって軽く扱ってはならない、そんな風に思わせるところがある。

 五歳以前の記憶がないと言っていたが、きっと彼も"白狩り"で辛い思いをしたに違いない。

 会ってまだ日が浅いがルーイが人なつっこいせいか、弟がいたらこんな風なのだろうか、と柄でもないことを考えもした。

 キティの一人目の"人捜し"、ルーイにはなんら危険性を感じない。

 問題は二人目だ。

 突然キティの頭上に酒瓶を振り下ろそうとした妙な男。

 あの女を守るつもりはなかった。反射的に体が動いてしまい結果的にはキティを守ったようなかたちになってしまった、というだけで。

 しかし、あの男、持っていたものが瓶だったからよかったものの剣だったらと思うとゾッとした。

 俺が剣で瓶を割った瞬間の、あの目、あの殺気。

 ほんの一瞬でしかなかった。

 それでも、あれは人殺しの目だった。

 まるで、あの日"白狩り"で見た、あの男のような。
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