vivid
「じゃあ真ん中のがブラックで…周りの三つがレッドとブルーとグリーンか」

「そう。今アタシたちが居るのは…そうさね、アタシの目の前にあるカップをレッドとするとイッシュの目の前のカップがグリーン、その間がイエローってことになる」

「つまり"協力してほしい"ってのは、お前と一緒に賭けに参加して計画阻止すんのを手伝ってほしいってこったろ?」

「なんだい、ずっと喋りゃあしないから寝ちまったのかと思ったよ、リグレイ。まあそういうことになるね」

 ひとり沈黙を守っていたリグレイが、ようやく口を開いた。

 キティを見つめる目は険しく、真剣なものだった。

「お前が賭けに勝ったら、お前はあの変態野郎から解放されるんだよな?」

「話聞いてたかい?アタシはアンタの言う変態ヘーカを殺す気満々だ、解放されるに決まってる」

「なら、お前が望んでそうするんだな?」

「アタシはアタシのしたいことしかしないよ」

 また、か。

 酒場の前で会ったときから度々、二人の間で交わされる意味ありげなアイコンタクト。

 先に視線を逸らしたのはリグレイの方だった。何か諦めたように溜め息を吐いて。

「そうか…それなら俺の答えはイエスだ。俺は、お前に"協力"する」

「え、ちょ、まじかよオッサン!世界一周すんの!?しかも一年かけて?」

「落ち着きな、ボウヤ。リグレイも。そう答えを焦るもんじゃない。この賭けのルールには、まだ続きがある。とりあえずアンタたちに話しておくべきことは、あと三つだ」

 そう言ってキティは人差し指を立てた。

 リグレイは不満げな顔をして組んでいた腕を解き頬杖をついていた。

 ルーイの肩には目に見えて力が入っている。

「まず一つ目、アタシは一人で賭けに挑んでも構わないが"仲間"をつくっても構わない。まあ、そういうわけでアンタたちに、この話をしているんだけどね」

 人差し指に続き中指が立てられる。

「次に二つ目、リミットの一年に至るまでアタシは絶対に殺されない」

「絶対に…ねぇ?どうだか」

「"絶対"と言われれば"絶対"だ。大方、自分の手でアタシを殺したいんだろうね、アンタの言う変態野郎は」

「そりゃあ、お熱いこって」

 リグレイの茶々にはそれ以上、応えることもなくキティは最後に薬指を立てた。

 シュリーという女も言っていたがキティと"陛下"の間に、どんな関係があるのか、いささか疑問である。
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