vivid
「あ、そだ。計画の話って他言無用的な感じっスか?」

「って言ったところでアンタ誰彼かまわず触れまわるんだろう?話そうが話さまいがすきにしな。あたしもグランだけには追々話す気でいたしねぇ」

「ひっど!俺そんな口軽くないっスよ~!つーかグランさんと言えば幹部間での"賭け"の話、聞きました?」

「アタシとヘーカ、どっちが死ぬかって賭けだろ?まったく悪趣味な話だよ」

「人聞きが悪いなあ、どっちが勝つかを賭けてるんスよ」

「同じことさね」

 用が済んだならサッサとアタシの視界から消えてほしい、そう思うものの赤いのが含みのある笑みを寄越すものだから自分から立ち去ろうにも、なんだか気が引ける。

「ね、姐さん。グランさん、何を賭けたと思います?」

「どっちに、じゃなくてかい?」

「そりゃどっちかってキティ姐さんに決まってんじゃないスか」

「そうかい。で?何を賭けたんだ」

 しょうがない、あと少しだけ付き合ってやるか。

 妥協しながら相手の求めているであろう返答を口にする。

 こざかしいこの男は待ってましたとばかりに満面の笑みを浮かべた。

「グランさん自身の命」

「は…?」

「姐さんが死んじまったら自分なんか生きてる意味ない、って。かっこいいっスよねぇ。ほとんどの奴は賭けるのなんて精々、酒か金だったのに」

 …グランめ、まったくあの男ときたら。

 アタシの不利だ、なんて言っておきながら。

 胸の内だけで不満をたれながすものの満更でもない気がしている自分は可愛げのない女なのだと十分に自覚はしている。

「ま、いくら格好よくても俺には理解できないんスけどっ」

「だろうね」

「でも、おもしれぇとは思いますよ?他人のためにソコまでー?みたいな」

「アンタは楽しけれりゃなんだっていいんだろう」

「その通りっス!!」

 ああ、この笑顔に弾丸を打ち込みたい。

 そんなアタシの物騒な願望を知るはずもなく、いちいち癪に触る男は何か思い出したように"あ、"と言った。

「シュリーちゃん、姐さんが帰ってくるまで待ってる~、って十一時頃まで起きてたんスけど睡魔には勝てなかったみたいで寝ちゃってました。プレゼントがなんとかって言ってたんで明日…つーか今日か。兎に角、明日は構ってやってください」

「言われなくったって、そのつもりだよ」
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