vivid

自己紹介とライトニングイエロー

(ルーイ視点)


 一番肝心なことを訊き忘れたなあ、なんて寝る直前になって思った。

 なんで戦力のないオレを、わざわざ"仲間"に勧誘したのか。

 キティは、ジィちゃんに世話になったことがある、と言っていた。じゃあ役に立つかどうかもわからないオレを"仲間"に引き入れたのは今は亡きワクスへの恩返し、ってところだろうか。

 記憶が戻るかもしれない、という可能性を餌にオレを釣って。でも向こうからしたって非戦闘要因のオレは、お荷物でしかない。命がけっていうリスクはあるけど、それはキティも同じことだし、なんだかんだでイーブンなのか。

 つーか、"仲間"になる誘い断ったら故郷にトンボ帰りだし他にやることねーし。

 それにキティは、"仲間"になる、と言ったオレに思いとどまる猶予だってくれた。そこまで悪い奴じゃないとは思う。

 かと言って全面的に信頼できるわけじゃねーけどさ。オッサンも然り。

 今のところ一番信用できるのはイッシュだけだ。

 オッサンは"守ってやる"なんて言ってたけど、いざってときに助けてくれそうなのはイッシュだよなあ、とか根拠もなく思ってしまう自分がいる。

 そういやオレ、みんなのカラーコード、知らねぇや。

 中立地帯ってこともあって、なかなか訊けなかった。

 イッシュとキティはオレが"白"だって知ってる、でもオレは二人と、もちろんオッサンの"色"も知らない。

 キティは言ってることと服装から考えるに間違いなく"黒"、たぶんオッサンも"黒"だと思う。

 じゃあイッシュは…?

 もしかして、"白"……なのかな。

 目を閉じながらグルグルと考えているうちに、その夜は睡魔に完敗してしまった。
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