vivid
イッシュを仰ぎ見れば頷かれた。オッサンの言うとおり、ってことか。
オレの勘では、今こそ"黒"を貶めるように聞こえることを言ってはいてもオッサンこそが"黒"の者なんだ。
なんで"黒"が"黒"を悪く言うのか。
疑念が、そのまま顔にでていたんだろうと思う、そんなオレを見かねてイッシュが説明を続けた。
「あの酒場はブラックに近かった。この世界はブラックを円で囲うようにして国が置かれている、それは知っているだろう?」
「うん」
「ということはブラックからなら何処の国へでも簡単に行き来することができる」
「うん」
「とは言ってもブラックに入国することを許されるのは"黒"の者だけ。手続きもなしに他国に入国できるのも"黒"の者だけだ」
「うんうん」
「つまり、どの国へ言ってもブラックへのゲートが近い場所には自然、"黒"の者がたむろしている。イエローでは、あの酒場がそうだ。まあ、此処は中立地帯だから入国手続きも必要ないがな」
「うん。"ブラックが近い"の意味は解ったよ」
「なら次は"危険"の意味、だな」
もう食べる気がないのかイッシュはオムライスの残された皿をテーブルの奥へと押しやった。少食なのかと思ってたけど、ただ単に食べながら喋ることに抵抗があるだけらしい。育ちがいいんだろうか。
「"黒"の権力は"白狩り"以後、他に並ぶものがない程のものとなった。ブラックに逆らえる国は存在しない、わかるな?」
「うん」
「レッドもブルーもグリーンも国だ、国王だっている。だが今となっては中立地帯の主要都市となんら変わりない、大きな領地の領主…どこも"黒"を恐れて平伏するばかりだ」
「そうなんだ」
「その"黒"としての権力をブラックの国民…一般人までが振りかざすようになった」
「おれは"黒"だぞー、って、デカい顔をするようになったってこと?」
「そうだ。他国の店の物に難癖をつけたり平気で盗みを働いたり、人攫いや人殺しだって"黒"だから、の一言で罷り通る……いや、通らせるんだ」
「……酷いな」
「ああ、横暴もいいところだ。中立地帯には未だに"白狩り"を語ってカラーコードを見せることを渋る者を殺して歩くような狂った奴もいる」
ギュッとイッシュの眉間に皺が寄った。今オレに話していることは全部、イッシュの経験に基づいているんだろう。
なんて声をかけたらいいのか、わからない。
オレの勘では、今こそ"黒"を貶めるように聞こえることを言ってはいてもオッサンこそが"黒"の者なんだ。
なんで"黒"が"黒"を悪く言うのか。
疑念が、そのまま顔にでていたんだろうと思う、そんなオレを見かねてイッシュが説明を続けた。
「あの酒場はブラックに近かった。この世界はブラックを円で囲うようにして国が置かれている、それは知っているだろう?」
「うん」
「ということはブラックからなら何処の国へでも簡単に行き来することができる」
「うん」
「とは言ってもブラックに入国することを許されるのは"黒"の者だけ。手続きもなしに他国に入国できるのも"黒"の者だけだ」
「うんうん」
「つまり、どの国へ言ってもブラックへのゲートが近い場所には自然、"黒"の者がたむろしている。イエローでは、あの酒場がそうだ。まあ、此処は中立地帯だから入国手続きも必要ないがな」
「うん。"ブラックが近い"の意味は解ったよ」
「なら次は"危険"の意味、だな」
もう食べる気がないのかイッシュはオムライスの残された皿をテーブルの奥へと押しやった。少食なのかと思ってたけど、ただ単に食べながら喋ることに抵抗があるだけらしい。育ちがいいんだろうか。
「"黒"の権力は"白狩り"以後、他に並ぶものがない程のものとなった。ブラックに逆らえる国は存在しない、わかるな?」
「うん」
「レッドもブルーもグリーンも国だ、国王だっている。だが今となっては中立地帯の主要都市となんら変わりない、大きな領地の領主…どこも"黒"を恐れて平伏するばかりだ」
「そうなんだ」
「その"黒"としての権力をブラックの国民…一般人までが振りかざすようになった」
「おれは"黒"だぞー、って、デカい顔をするようになったってこと?」
「そうだ。他国の店の物に難癖をつけたり平気で盗みを働いたり、人攫いや人殺しだって"黒"だから、の一言で罷り通る……いや、通らせるんだ」
「……酷いな」
「ああ、横暴もいいところだ。中立地帯には未だに"白狩り"を語ってカラーコードを見せることを渋る者を殺して歩くような狂った奴もいる」
ギュッとイッシュの眉間に皺が寄った。今オレに話していることは全部、イッシュの経験に基づいているんだろう。
なんて声をかけたらいいのか、わからない。