密会は婚約指輪を外したあとで
『こちらは、全国で一番気温の高かった地域です。子どもたちは暑さをしのぎ、公園の噴水で水遊びをしています』
液晶画面の中から、聞き覚えのある低くて滑らかな声がする。
青空の下、親子が噴水で遊ぶ様子が映されていたから、今流れているのは中継ではなく録画のよう。
今日はこの街は一日中雨か曇りだったし、かなり遠い地域へ取材に行ってきたのだろう。
「拓馬おじたーん」
椅子から降りた一花ちゃんは、TVの中の拓馬へ小さな手を無邪気に振っている。
拓馬は『急に暑くなりましたね。何時から来てるんですか?』など、親子にインタビューを始め、微笑ましい光景が終始映される。
『明日も熱中症などに注意が必要ですね』
インタビューの最後に、拓馬は爽やかな笑顔をカメラに送ってきた。
突然彼と目が合い、私に向かって微笑んでくれたのかと勘違いしかけてしまう。
慌てて画面から目をそらし、お茶を一気飲みして動揺をごまかす。
あの笑顔は絶対、演技に違いない。
普段とは違う雰囲気の拓馬を目の当たりにして、図らずも胸を高鳴らせている自分がいた。
液晶画面の中から、聞き覚えのある低くて滑らかな声がする。
青空の下、親子が噴水で遊ぶ様子が映されていたから、今流れているのは中継ではなく録画のよう。
今日はこの街は一日中雨か曇りだったし、かなり遠い地域へ取材に行ってきたのだろう。
「拓馬おじたーん」
椅子から降りた一花ちゃんは、TVの中の拓馬へ小さな手を無邪気に振っている。
拓馬は『急に暑くなりましたね。何時から来てるんですか?』など、親子にインタビューを始め、微笑ましい光景が終始映される。
『明日も熱中症などに注意が必要ですね』
インタビューの最後に、拓馬は爽やかな笑顔をカメラに送ってきた。
突然彼と目が合い、私に向かって微笑んでくれたのかと勘違いしかけてしまう。
慌てて画面から目をそらし、お茶を一気飲みして動揺をごまかす。
あの笑顔は絶対、演技に違いない。
普段とは違う雰囲気の拓馬を目の当たりにして、図らずも胸を高鳴らせている自分がいた。