密会は婚約指輪を外したあとで
「──僕、最近彼女ができたんだ」
私の考えていることが読めたのかと錯覚するくらい、タイミングよく打ち明けてくれたハルくん。
「彼女? ……良かったね、おめでとう」
私は自分のことのように嬉しく思ってしまう。
どんな子だろう。
イメージ的には、髪がふわっとしていて小柄な子。
何となく、ハルくんは可愛いタイプの子が好きそう。
妄想を膨らませる私に、ハルくんはくちびるの端を緩めて微かに笑う。
「この前なゆさん、僕に何でもしてくれるって言ったよね?」
「え……そうだった?」
確かハンバーグを作る約束をしたけれど、それで終わりだったのでは?
「なゆさんに、追加でもう一つだけ、お願いがあるんだ」
「私にできることなら、いいよ」
恐る恐るの了承に、ハルくんは嬉しそうに大きな目を細めた。