密会は婚約指輪を外したあとで
「──ちょっと待て」
キスをされそうになった直前。
乱暴にドアが開き、勝手に部屋へ上がり込んできた拓馬が、ハルくんの髪を後ろから鷲掴みにした。
「イタっ」
顔をしかめたハルくんは、私から思い切り引きはがされる。
「目を離すと、すぐこれだからな」
苦々しく拓馬は溜め息をつき、私を睨みつけた。
「あんた、兄貴と血が繋がってれば、誰でもいいのかよ」
「……違うの、誤解だよ。私、ハルくんのお母さん代わりになってるだけなの。そんな関係じゃないから」
言い訳は聞きたくないとばかりに、拓馬は私の台詞を無視し、「帰るぞ」とハルくんへ短く言い捨てた。
拓馬がちょうどよく駆けつけてくれたのは、キッチンでオムライスを作っている隙に、『ハルくん、今うちに来てるよ』とメールしておいたからだ。
来てくれなかったら今頃、ハルくんとどうなっていたか……。
青ざめた私は、ハルくんへブレザーを渡すためソファから立ち上がった。
キスをされそうになった直前。
乱暴にドアが開き、勝手に部屋へ上がり込んできた拓馬が、ハルくんの髪を後ろから鷲掴みにした。
「イタっ」
顔をしかめたハルくんは、私から思い切り引きはがされる。
「目を離すと、すぐこれだからな」
苦々しく拓馬は溜め息をつき、私を睨みつけた。
「あんた、兄貴と血が繋がってれば、誰でもいいのかよ」
「……違うの、誤解だよ。私、ハルくんのお母さん代わりになってるだけなの。そんな関係じゃないから」
言い訳は聞きたくないとばかりに、拓馬は私の台詞を無視し、「帰るぞ」とハルくんへ短く言い捨てた。
拓馬がちょうどよく駆けつけてくれたのは、キッチンでオムライスを作っている隙に、『ハルくん、今うちに来てるよ』とメールしておいたからだ。
来てくれなかったら今頃、ハルくんとどうなっていたか……。
青ざめた私は、ハルくんへブレザーを渡すためソファから立ち上がった。