密会は婚約指輪を外したあとで
偽装婚約
星が瞬く夜、一馬さんは待ち合わせの駅まで車で迎えに来てくれた。
白のステップワゴンで広々とした車内。
会社帰りなのか、前と同じように清潔感のあるスーツを着ている。
「今日の格好も可愛いね」
褒め慣れている感じで、一馬さんは助手席の私を見てさらりと言った。
今夜の私は、清楚に見える紺地に白のドット柄のワンピースを着ていた。
「いえ、そんなことは……」
いつもの癖で否定してしまうと、一馬さんが軽くため息をついた。
「素直に“ありがとう”って言えばいいのに」