密会は婚約指輪を外したあとで
「拓馬のペットか?」
「さすが龍之介さん、よくわかってますね」
突然私の話題になり、あたふたしている私を拓馬が鼻で笑った。
彼女じゃないとすぐに見抜かれる私って一体……。
「もっと話を聞きたいところだけど、今日は時間がないんだ。続きは今度ゆっくり聞かせてもらう。じゃあ、またな」
「……はい、気をつけて」
龍之介さんは渚さんの肩に手を置き、駐車場の方へ連れて行く。
二人の背中を見送りながら、隣にいる拓馬へ視線を向けた私は、思わず目を見開いた。
そこには、肩を抱かれて去っていく彼女のことを、どこか心配そうに見つめる横顔があったから。
女の勘で、渚さんは拓馬にとって特別な人なのだと悟った。
直球で聞かずにはいられなかった私は、不安になりながらも早速彼に尋ねてみる。
「あの女の人、もしかして拓馬の好きな人?」