密会は婚約指輪を外したあとで
「噂っていうか、疑惑。拓兄、不倫してるかもしれないんだ」

「え…………、不倫?」


掠れた声でそれだけ返し、動揺を隠すためにハンバーグの形を作ることに集中する。


──今の言葉で確信を持った。

拓馬は渚さんと、誰にも知られてはいけない関係なのだと──。


「この話、他の人には内緒だよ?」

「わかってるよ。だけど、それが本当だっていう証拠はないんだよね……?」


拓馬が人妻と不倫の恋をしてるなんて信じたくはない。

それが事実なら、やめてもらいたかった。


「証拠ね……。じゃあ今度、確かめてみる? その疑惑が本当なのか」


真相が知りたくて仕方がない私は、思わず頷いていた。

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