密会は婚約指輪を外したあとで
翔さんの話を聞いていくうちに、彼は拓馬の高校時代の先輩だということがわかった。
学園祭で演劇部の人手が足りなく、拓馬と翔さんがヘルプとして呼ばれたことが最初の出会いだったらしい。その演劇、私も見たかった。
二人とも目立つ外見だから、高校時代は相当人気があったはず。
「拓馬は昔から、それほど好みは変わっていないと思うよ」
「そうなんですか……?」
派手な美人が好きだと聞いていたから騙されていたけど──。
思ったとおり、あの人妻の女の子のことを拓馬は好きなんだ。
変に着飾らなくても可愛い、自然体のあの子のことを。
翔さんなら拓馬の過去も、不倫の事実も少しは知っているだろうか。
けれど、そんな深くまで聞くのはさすがに失礼だと自制する。
ヘアセットが一通り終わり、メイクへと移る。
「奈雪ちゃん、こっちの色の方が似合うんじゃない?」
翔さんが提案してきたのは青みがかったピンクの口紅だった。
学園祭で演劇部の人手が足りなく、拓馬と翔さんがヘルプとして呼ばれたことが最初の出会いだったらしい。その演劇、私も見たかった。
二人とも目立つ外見だから、高校時代は相当人気があったはず。
「拓馬は昔から、それほど好みは変わっていないと思うよ」
「そうなんですか……?」
派手な美人が好きだと聞いていたから騙されていたけど──。
思ったとおり、あの人妻の女の子のことを拓馬は好きなんだ。
変に着飾らなくても可愛い、自然体のあの子のことを。
翔さんなら拓馬の過去も、不倫の事実も少しは知っているだろうか。
けれど、そんな深くまで聞くのはさすがに失礼だと自制する。
ヘアセットが一通り終わり、メイクへと移る。
「奈雪ちゃん、こっちの色の方が似合うんじゃない?」
翔さんが提案してきたのは青みがかったピンクの口紅だった。