密会は婚約指輪を外したあとで
「大丈夫、もっと自信持って。そうすれば、きっと拓馬も──」
「──翔さん、どうですか。少しは変わりました?」
翔さんが何かを言いかけたとき、用事を終えたらしい拓馬が戻ってきてしまった。
「おかえり。奈雪ちゃんのヘアメイク完成したよ」
翔さんは私を立たせ、拓馬の方へ顔を向かせる。
ドキドキしながら彼の反応を待つ私は、また毒舌を言われるのではと、手に汗をかいてしまう 。
そんな私を見た途端、拓馬は言葉を失ったように黙り込み、なぜか目をそらした。
「…………誰かと思った」
いつもは滑舌よくハキハキと喋る拓馬が、珍しく言いよどんでいる。
口ごもる拓馬は貴重かもしれない。
「すっぴんとのギャップが激しすぎる」
それって。素顔は不細工ということですか?
「そうかな、ノーメイクのときとそんなに変わらないと思うよ、いい意味でね」
翔さんは優しい人のようで、拓馬の心無い言葉にもフォローしてくれる。
「まあ、さっきの変な似合わないメイクよりは、全然マシなんじゃないですか。さすが翔さんですよね」
「──翔さん、どうですか。少しは変わりました?」
翔さんが何かを言いかけたとき、用事を終えたらしい拓馬が戻ってきてしまった。
「おかえり。奈雪ちゃんのヘアメイク完成したよ」
翔さんは私を立たせ、拓馬の方へ顔を向かせる。
ドキドキしながら彼の反応を待つ私は、また毒舌を言われるのではと、手に汗をかいてしまう 。
そんな私を見た途端、拓馬は言葉を失ったように黙り込み、なぜか目をそらした。
「…………誰かと思った」
いつもは滑舌よくハキハキと喋る拓馬が、珍しく言いよどんでいる。
口ごもる拓馬は貴重かもしれない。
「すっぴんとのギャップが激しすぎる」
それって。素顔は不細工ということですか?
「そうかな、ノーメイクのときとそんなに変わらないと思うよ、いい意味でね」
翔さんは優しい人のようで、拓馬の心無い言葉にもフォローしてくれる。
「まあ、さっきの変な似合わないメイクよりは、全然マシなんじゃないですか。さすが翔さんですよね」