幼なじみじゃイヤなんだ。
「デートは彼氏と彼女がするもんだろ?だから後1時間寝る!」





桜はいつだってそう、照れもせず、気にもせず、『大好き』だの『デート』だの恋人同士が使う、そんな言葉を平気で口にする。



俺の気も知らないで…。





「えぇぇぇっ!だってお母さんが言うよ。『今日は流瑠君とデート?』ってさ。藍ちゃんだっておばさんだって、流瑠と遊びに行く事『デート』って言ってんじゃん!どうでもいいじゃん!なんでもいいじゃん!今更、そこん所は!」




この後桜は「このヘリクツ男!」とまで言ってのけた。




『どうでもいい』と『なんでもいい』に溜息が洩れそうになるのを堪えて、





「絶対、後1時間は寝る!」





と意地を張った。





「……」





反論なし?珍しい。





「桜はそこでゲームでもしてて」





俺の部屋の物のありかは教えなくても誰よりも知っている。





観念したのか大人しくなる。


俺はまた少しずつ意識を失っていく。



遠くで桜がごそごそしている物音が聞こえる。





…何してんだろう?ゲームじゃないなぁ?




夢うつつの中。音に反応して頭がぼんやり考える。













……ん?







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