幼なじみじゃイヤなんだ。
「流瑠の用意が出来たら行こう。下でテレビ見て待ってる」





桜がベットから下りて部屋を出ようとする。





「あ、髪」


「へっ?」





桜が振り向いた。


ベットに寝ころんでいたせいで、後ろ髪が乱れてる。





「せっかくちゃんとしてんのに、台無し」





桜の正面から両手を伸ばし、横から覗き込むように乱れた髪を直してやる。


近付いて髪に触れた瞬間、桜が静かに俯いた。

良く見ると、頬が少し赤い。





「桜、お前顔赤くない?熱あるんじゃ?」


「えっ!」





桜がびっくりして顔を上げる。


自分の頬を触りながら、慌てて言った。





「違うよ!ひ、冷えのぼせだよ。」


「5月も末なのに?」





俺のその言葉に、桜は困ったように、「へへ…」と笑いながら部屋を飛び出して行った。
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