幼なじみじゃイヤなんだ。
「桜。興奮しすぎて、鼻が膨らんでる。」


「ええっ!?」




急いで両手指で鼻を挟んでいる。





「膨らんでないもん!」





みるみる顔が赤くなってくのを見て思わず笑ってしまう。





「冗談だよ!…ほら、ブタの顔。そっくり!」





桜の鼻を人さし指でぶにゅっと持ち上げる。



いろんな理由をつけて、桜に触れる自分に呆れてしまうけど、その欲求は止められそうもない。




桜は、俺の指を掴んで鼻から引き離すと、最高潮に真っ赤になり俺を見上げた。





本人は”睨んでいる”つもりで。

桜は怒る時はいつでも真っ赤っ赤。





…ほら、それが可愛いんだって。





だからついつい、いじめてしまう。

からかってしまう。





本当はもっと違う愛情表現をしないと、桜を振り向かせることなんて出来ない。



長い付き合いだからこそ、桜が喜びそうな言葉は分かるのに。




でも、長い付き合いだからこそ、照れくさくて、言葉にすることなんて出来ない。
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