幼なじみじゃイヤなんだ。
「んんっん。桜はどうなんだ?そ、その、好きな子とかはいないんだよな?」




おじさんの咳払いの後に出たセリフをきっかけに、俺はその事を知ってしまった。




「…いないよ」


「そうかそうか。そんなものは、焦らなくていいからな。良かった。良かった」




そして、次の陸人の言葉が地雷を踏んだ。




「姉貴みたいなガキに彼氏なんているはずねーよ。もっとこう、綺麗な…そう!美人のタイプが男にモテんじゃねーの。ほら。流兄んとこのマネージャーみたいな子とかさ」




桜の眉をピクッとさせた。



陸人の桜に対する毒舌は今日に限った事じゃないのに、何だか今日のにはかなり、カチン!と来ているみたいで。


桜が勢い良く箸を置いた。

その音にみんなが桜に注目する。




「ちょっと!陸人!!ガキって酷くない?わ、私だってこの間男の子に『綺麗だ』って言われたんだからね!…って、あ……」








「ええええええっ!桜ちゃん何それ!!愛の告白されたの?」

「姉ちゃん!マジかよ!どこの物好きだよっ!おいおい!!」

「桜!誰なんだ!そいつは!お父さんに名前を言いなさい!」

「…い、いやだよ。」

「ははは。やるな。桜ちゃん。おじさん、桜ちゃんの成長にびっくりだ!」

「どこの誰か気になるよね。教えてよ。桜ちゃん」

「言いなさい!桜!父さんは父さんは心配で心配で…」

「言っちゃえよ。姉ちゃん。」

「いやよ!言わない!」

「えー私、聞きたいっ!流瑠も黙ってないで、何とか言いなさいよ!って……怖っ!」







「……誰に何を言われたって?桜」






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