幼なじみじゃイヤなんだ。
…上坂?




「誰なんだそいつは!誰なんだそいつは!!母さんは知ってるのか?」


「…ええっと?確かクラス委員で一緒の子じゃなかった?ねぇ。桜?」


「……」




もしかして、2週間前の放課後に言われた?




「やるわね。桜ちゃんオトしちゃったんだ!その男子のこと?」


「そ、そんなんじゃ。ないよ…」




あの日から、桜の様子がおかしかったのは?




「姉ちゃんは、そいつのこと好きなのかよ?」


「た、ただの友達だよ。それに上坂くんはそんな意味で言ったんじゃないと思う…」




あいつのせいなのかよ?


あいつはそんなに簡単にお前の心を掻き乱せたのかよ?


俺はどうしたらお前の心の中に入れるかさえ分からないのに…。




ムカムカする。
イライラする。



どす黒いモノが胸を支配する。




「流瑠?」




桜が横に座っている俺を見上げている。



困った顔をしている

涙目になっている



なんでそんな顔するんだよ?

何を考えているんだよ・・?



胸の奥がぐっと痛くなる。

箸を握った手に力が入る。




「ホントに違うの。私は、あのね、その…」

「……」




なんの言葉も出て来ない。
桜の顔すらもまともに見れない。




「…えっと」

「なにが言いたいの?」




冷たい言葉しか出て来ない。

桜が自分の膝に置いていた両手をぐっと握り締めたのが見えた。




「・・・・・何でもない」




桜が言葉を呑(の)んだ。
< 154 / 606 >

この作品をシェア

pagetop