幼なじみじゃイヤなんだ。




2人は互いに目を合わせたまま数秒離さなかった。





2人の怖いくらいの真剣な表情と沈黙に耐えきれなくなったのは、私。




「流瑠。見過ぎだよ?」




そう言って、流瑠の左腕を両手で掴んで、自分の方に引き寄せ、視線をこちらへと変えさせ様として、




「あ…ごめん」




そう言葉を発してしまったのも私だった。


腕を力強く引っ張ったせいで、流瑠の体の重心がこちらに傾いて、至近距離になった流瑠の顔に、思いっきり緊張してしまった自分がいたから。



思わず手を離し、2、3歩後ずさりしてしまう。





不思議そうな顔でこっちを見た流瑠は、なぜか、その後上坂くんの方を見てから、また視線を私の方に向けた。




その視線は私の心の中を探ろうとする様な、するどいもの。




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