幼なじみじゃイヤなんだ。
そう言った私に早苗が残念そうに溜息を漏らす。
「大石ってば春休み、何やってたのよ!…桜は鈍感だからちゃんと言わなきゃ伝わらないよって助言してあげたのに…告白してないな!」
早苗の小さな独り言に、首を傾げる。
「え?流瑠がなに?助言って?」
「ううん、こっちの話ー」
早苗は怪訝な顔をする私ににっこり笑った後、振り向いて、教室の後ろのグループの中で話している流瑠を、指差しながら言った。
「ほら、大石ってばもう新しい友達作ってるよ」
視線をそちらに向けると、流瑠は数人のクラスメイトの輪の中に溶け込んで、笑っている。
もともとあの明るい行動派の性格から、流瑠は中学の時から男女問わず友達が多かった。