幼なじみじゃイヤなんだ。
「桜、顔も口もタコみたいになってる」


「うるさい!」





キッ睨みを決めたその時、誰かに後ろから左肩をトントンと叩かれて。



私が振り向くよりも先に、その誰かを流瑠の視線が捉えた。


流瑠の目が見開いていく…。





「もう!なーに2人でイチャイチャしちゃってんのよ」





この声は……





「あ──!藍ちゃん!!」





振り向いた先には、まさかの真っ赤なスーツを完璧に着こなした藍ちゃんがニッコリ笑って立っていた。



藍ちゃんは流瑠のお姉さんで、10歳年上、25歳。

美人で、英語堪能、男を手玉に取るのがお得意の、バリバリのキャリアウーマン。




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