幼なじみじゃイヤなんだ。
「流瑠くんもう駅に着いてるみたいよ。そろそろ家に着くんじゃない?『桜がお弁当持って行くよ』って言っといたから、早く行ってらっしゃい」


「うん!ありがとう!」





流瑠が帰って来る。そう思うと知らない内に声のトーンが上がっていた。


お母さんはそんな私を見てにっこり笑う。





「いえいえ、あっ、そうだ!お父さんがへこんでいるから後で何か声掛けてあげてね」


「あ…」





完全に忘れていた。



今朝お父さんに酷いこと言ったんだった。



今朝のことがなんだか何日も前の出来事のように思えた。


それ位、昨日と今日は私の気持ち的にいろいろあった日だった。





お父さんに「大好き」と一言伝え、玄関扉を急いで開いて行き慣れた流瑠の家へと向かう。



隣までの数メートルがもどかしく感じる。


頭はもう何にも考えていない。






ただ、ただ


“早く会いたい”


その想いだけが私を急がせていた。

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