幼なじみじゃイヤなんだ。
今回お願いしてないや…





「ううん。忘れていたことを思い出しただけ」


「ん?何を思い出したの?」


「流瑠にお願いするの忘れてたなって思って」


「大石くんに?」


「“人目を気にせず頑張ったご褒美”に、いつもアイスをおごってもらうの。そのお願いがあるから頑張れるっていうか…ゲンキンだけどね」


「…へぇ」


「私、子どもの時から極度のあがり症で、中学の時の初めての演奏会の当日、緊張しすぎてカチカチになってたの。『間違えたらどうしよう』とか『頭が真っ白になったらどうしよう』とか思ったら涙まで出てきちゃって」





上坂くんはじっと私を見ながら聞いている。





「そんな私を励ますために流瑠が言ったの『観客だと思うな!お地蔵さんの集団だと思え!』って」





思わず笑ってしまった『お地蔵さんの集団』の方がある意味怖いよ!って。





「その後、『頑張ったご褒美にアイス買ってあげる』って言ってくれたの」





流瑠のお陰でものすごく和んだんだった。


流瑠はいつもこんな風に私のこと支えてくれているんだった。






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