幼なじみじゃイヤなんだ。
一体なんなのよ、陸人もお母さんも。




私と流瑠が付き合っているとでも思ってんのかな?




そんなわけないのに。

私の一方的な片想いなのに。




門を閉めながら、流瑠の部屋を見上げる。




昨日は夜、久しぶりに流瑠の部屋に行った。


テスト勉強を一緒にしよう。と理由をつけて会いに行った。





流瑠の部屋に行くのにこんなに緊張したことは今までなかったし、2人でたあいもない話しをしていると、今までの数倍楽しんでいる自分がいた。





「もう行ったかな?」





流瑠は今日、南高へ行くと言っていた。

練習試合があるらしい。





『桜は明日なにかあるの?』って聞かれたけれど、『部活だけ』としか答えられなかった。





嘘を吐くのは嫌だったけれど、上坂くんと会うことは何となく言えなかった。






そして、水族館デートの日を2人で決めて。


流瑠が「楽しみだな」って笑顔で言った。






その顔を思い出しながら、学校へと向かう電車の中でもついつい、ニヤけてしまっている、私がいた。

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