幼なじみじゃイヤなんだ。
* * *




1年2組の前に来た。






部活が思ったよりも長引いて、上坂くんとの待ち合わせの時間に少し遅れてしまった。




上坂くんもう、来ているよね?




1つ大きく深呼吸をする。

上手く言えるかな?



上坂くんを傷つけないように上手く返事が出来るかな?





教室の扉を開く。




我がクラスのあるこの南校舎は数年前に立て直したばかりで、扉が新しいからか、開ける時の音がほとんどしない。




教室に入ると、上坂くんは机の上に伏せて眠っていた。


そーっと上坂くんが座っている席に向かって歩いていく。






「上坂くん?」





寝顔に声を掛けても、反応がない。


どうしよう。と思いながら上坂くんの横の席に腰かけて、上坂くんを見てみる。





「うわっ!睫毛、長っ!」





閉じられた切れ長の目から伸びる長い睫毛、高い鼻。

整った綺麗な顔立ちを見て思う。





「そりゃ、ファンの人も出て来るよね…」





そんなことを思いながら、静かな教室でボーっと上坂くんを眺めていると、急に大きな音が流れ出した。





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