幼なじみじゃイヤなんだ。
私の右手

流瑠のいない右側




怖いくらいにわかるんだ。





流瑠の


左手の位置

左肩の位置

横顔の位置



日常だった。




合わせてくれる歩幅も、

歩いてるとたまにぶつかる体の一部も、

目と目が合った時の優しい笑顔も、





どれだけ、どれだけ大切なものだったのか気付いてしまったのに。




『…俺が好きなのは桜じゃない。桜はただの幼なじみだよ』





「神様の意地悪。気付かせるだけ気付かせて、取り上げるんでしょ?これから…」





私の指定席だった流瑠の左側には誰が来るの?




『俺、好きな子がいる』

『本当に大切な子だから』




思わず胸元を握り締める。


じわっと視界を霞(かす)めるモノを深呼吸して閉じ込めた。

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