幼なじみじゃイヤなんだ。
どくん どくん どくん どくん どくん



走りながら、前方から私に近付いてくるその姿を見て心臓が鳴りやまない。


流瑠が走ってくる。





「桜、おかえり!」





目の前に立つ顔を見て、異常なまでの緊張感が私を襲う。





「た、ただいま…な、何でこんなとこ?ど、どこか行くの?」





まともに喋れない自分にびっくりして、思わず目を逸らせてしまう。






「……桜を迎えに来たんだ」





予想外の答えを耳にして、また流瑠に視線を戻す。

流瑠は手に持っていたケータイをジーンズのポケットに突っ込んだ。





「え?なんで?まだ、こんな時間だよ?」






迎えに来てくれたと言うけれど、食事会の時間にはまだ間に合っているし、外はまだ明るい。


不思議に思って流瑠からの答えを待っていると、流瑠は私の顔を覗きこんでこう言った。






「今まで何してたの?」


「え゛!?」






さっきより近付いた顔に動揺して変な声が出る。



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