幼なじみじゃイヤなんだ。
「こんなことしてもどうにもならないってのはわかるのに、桜のこととなると、俺もうめちゃくちゃ…」






私から目を逸らし、自分の頭をくしゃくしゃっとした。






「桜は俺にとって妹なんかじゃねぇよ。子ども扱いなんてしてない。それをキスしてわからせたかった」






流瑠のその言葉を聞いてやっと私の口が動いた。






「なに言ってるの、流瑠。キスは好きな人にするもんでしょ?幼なじみの私にするもんじゃないよ…」






それを聞いた流瑠が寂しそうな顔をしたように見えた。






「『好きな人と』か…」


「……うん」


「なぁ桜、俺の好きな人はさ、……」




「やだ!聞きたくない!流瑠の口からはもう聞きたくない!」





流瑠の言葉に被せるように、そう言っていた。
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