幼なじみじゃイヤなんだ。
大きな声を出した私を、流瑠がびっくりしたような目で見つめる。
「流瑠の言いたいことはわかってるから」
流瑠から目を逸らした。
「わかってないだろ?」
目を逸らせていても、痛い位に視線を感じる。
「…聞いちゃったから、今日」
「え?」
「流瑠が雪見さんと話しているところ、偶然聞いちゃったんだよ」
「あれを聞いてたの?」
びっくりしたような声を出して、流瑠の顔が少し赤くなる。
「うん、全部聞いたの流瑠の気持ち、だから言わないで、聞きたくないの」
「『全部』って最後まで聞いてたって事だよな?じゃあ、俺の桜に対する気持ちを知ってて、『聞きたくない』って言ってるの?」
『桜はただの幼なじみだよ』
「…うん」
「…俺はきちんと言いたい。桜がどんな答えを出しても俺は受け入れるから、勝手だけれど、桜に聞いてもらいたい」
『俺、好きな子がいる…本当に大切な子だから』
「だって私、流瑠に面と向かってそんなこと言われちゃ辛いよ…でも、流瑠は言いたいよね?ごめんね。聞く勇気がなくて、ごめんね流瑠」
「…桜」