幼なじみじゃイヤなんだ。
『桜には聞いてもらいたい』





流瑠のこの言葉が、あれ以来、何度も何度も頭を巡る。


私は、上坂くんに『流瑠を絶対傷つけない』なんてえらそうなこと言った。





それなのに私は、流瑠が言おうとした言葉を遮り、その言葉を聞かないことで、自分だけ傷つくことから逃げたんだ。





あの時、流瑠がどう思ってるか、どう感じてるかなんて考えもしなかった。




なんであんな辛そうな顔をしていたんだろう。



雪見さんには言わなかったことも私には言おうとしてくれていたのかもしれないのに。





流瑠が合宿に行ってしまうまでに、聞こうと思えば聞けたのに、私は結局、聞く勇気を持てないままだった。



< 471 / 606 >

この作品をシェア

pagetop