幼なじみじゃイヤなんだ。
廊下の片隅に立ち止まったまま。

握られた手にギュッと力が入る。





どくん!と跳ねる心臓の音は、流瑠にも聞こえたかもしれない。




でも今は、そんなことを気にするよりも、流瑠が与えてくれる温かい空気に私はずっと包まれていたかった。


きっと、ほわーっと安心しきった顔をしているだろう私を見つめながら、流瑠が口を開いた。






「それに、今は充電中だから、桜が『放して』って言っても手は放してやらない」


「充電?」


「うん、そう。2週間も顔見れなかったんだから、完全に電池切れ」






なんて甘いことを言うのよ流瑠は…

おかげで頬が燃えるように熱い。



流瑠の言葉は簡単に私の心臓の動きをおかしくさせる。





< 525 / 606 >

この作品をシェア

pagetop