幼なじみじゃイヤなんだ。
「あのね、流瑠」





流瑠の胸に倒れ込んだままで話し始める。





「ん?」



「この間は、誤解させるようなことを言っちゃったけど、上坂くんとはなにもないから…告白されたけど、きちんと断ったよ」


「…」


「えっと…抱き締められたって言うのは本当なんだけど、今日はそうならないように頑張ったのも本当だよ」






私が1ヶ月前、あんなことを言ったせいで、流瑠は、上坂くんと私の仲を誤解しているかもしれない。




やっぱり、好きな人には、そんな誤解はして欲しくない。


誤解しないで…。






「本当だよ。あの日から上坂くんに隙なんて見せないようにしてきたよ。…でも、ね……」


「でも?」


「流瑠には無理だよ……私は流瑠には隙だらけになっちゃうもん…」





私は流瑠には隙だらけになってしまう。

だって、抱き締められたって、私は何も困らないもん。






それどころか、抱き締めて欲しいと思ってる。



『充電いっぱいにさせて』と抱きついたあの日もそう思っていたように。






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