幼なじみじゃイヤなんだ。
「桜…怖いわよ。なに1人で赤くなったり、青くなったりしているの?」





そんな言葉がキッチンに聞こえてきてハッと顔を上げる。


カウンターを挟んだ向こう側にお母さんの優しい笑顔があった。





「な、なんでもないよ…」





考えていることを見抜かれそうで恥ずかしくなり、急いでお弁当箱におかずを詰めているふりをして下を向く。






「わぁ、おいしそうに出来たわね。頑張ったじゃない、桜」


「うん、でも卵焼きこげちゃったし、ハンバーグの大きさがバラバラ…」


「ははっ!本当だね。でも大丈夫!これくらい。許容範囲。完璧なお弁当より桜らしくていいじゃない」


「酷いなぁ、もう…どうせ不器用ですよ」






お母さんは無邪気に失礼なことをいうお母さんに、口を尖らせると、






「不器用でもいいじゃない。一生懸命作ったんだから。愛情がすべてをカバーしてくれてるわよ」






今度は、私をドキッとさせることをサラッと言った。
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